魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
ヴィクトールの表情は険しいままだ。


「それとわたくしを脅すのは無意味だとわかっていただけましたか?」

「…………」


黙ってこちらを睨みつけるヴィクトール。
これ以上話をしても仕方ないため、ここは文化の違いということにしておこう。


「…………変な奴だな」

「まぁ! ありがとうございます」

「褒めたつもりはない」


それから部屋に沈黙が訪れた。
手持ち無沙汰になったシャルレーヌはテネブルを撫でながらいつもの遊んでいた。
しかし明らかにヴィクトールは苛立っている。ここは空気を読んでテネブルに声をかけた。


「テネブル、そろそろお別れしないと。陛下が寂しがっておられますわ」

「……おい、まだ話は終わってないぞ?」


不満気なヴィクトールを見て、シャルレーヌはクスッと笑った。


「こんな真夜中にわたくしの部屋をそんな格好で訪れて、他者が見たらどう思うのでしょうか」


他の妃たちより先にシャルレーヌの元へ訪れたとなれば、大騒ぎになるはずだ。
シャルレーヌの口角がどんどんと上がっていく。

(これを広めて引っ掻き回すのもおもしろそうですわね)

だが、まだその時ではない。
今は何もないままヴィクトールには帰ってもらわねばならない。


「他の妃に勘違いされたらどうするのです? 立場が悪くなるのは望んでいないのでは?」

「…………!」

< 112 / 168 >

この作品をシェア

pagetop