魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
彼女がもし起きていれば騒ぎになりそうだが、残念ながら蝙蝠たちによると眠っていたらしい。

(あとは護衛が侍女が見かけていたら一番いいけれど、お一人だったものね)

シャルレーヌは月が浮かぶ夜空を見上げながら微笑んだ。
サンドラクト王国よりも肌寒く、朝や昼間に出かけなければ居心地はいい。
テネブルがシャルレーヌに懐いたことにより、ヴィクトールも定期的にここに足を運ぶことになるはずだ。
そうすれば妃たちは黙っていられなくなる。

(先に誰が動くのかしら。うふふ、楽しみですわ)


──それから数日後。

どうやらヴィクトールとの密会が誰かにバレることはなかったようだ。
テネブルも深夜にここに遊びにくることはなくなった。
シャルレーヌはリリーと共にゆったりとした時間を過ごしていた。
カラスや蝙蝠たちには情報収集を頼んでいたが、特にイベントもなく静かだった。

夕方にはリリーと散歩に行っていたが、めまいに咳が出てしまい部屋で一日中眠っていた。
するとリリーは自分のせいだと大号泣。

ここ一週間、テネブルと遊んでいた影響もあるのだろう。
それを説明できるはずもなく、彼女を宥めていた。

外に出ればカラスたちが空で様子を見ていた。
シャルレーヌがゆっくりと体を休めていると、扉を叩くノックの音。

ルイが対応すると見たことがない執事がいるそうだ。
どうやら匿名の呼び出しを受けているようで、シャルレーヌは驚いていた。


「シャルレーヌ様、どうされますか」

「コホッ……どうしましょうね」

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