魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
やはりモルガンはヴィクトールを裏切りたくはないようだ。

(彼は一人でここに来ているのね。なんて愚か……純粋なのかしら)

何も準備していなければ殺されても文句はいえない。言う前に死ぬのだが。
それにこの状況で動物たちが守ってくれるとも思えない。

シャルレーヌの後ろ、闇の中から音もなくルイが現れるとモルガンは驚いたのか「ヒィッ……!」と悲鳴をあげた。

(あら……この気配は)

シャルレーヌは何もない建物の影に視線を送った。
暗闇の中を蠢いているが、そこには久しぶりに感じる気配。
無意識に笑みが漏れた。
これならば不貞行為はしていないと、彼も証明してくれるだろう。


「それで……わたくしにお話とはなんでしょうか」

「だから、どんな手を使ってカラスたちを奪ったのか白状しろと言っているんだ!」

「どういう意味でしょうか」


シャルレーヌはにっこりと微笑んだ。
黙っていれば完璧な美術品のような端正な顔立ちだが、喋るとこうも残念な気持ちになるのは何故なのか。


「僕は知っているんだからな!」

「それで……?」

「それでじゃない! そのせいで情報収集がうまくできなくて僕は……っ、ヴィクトール陛下のお役に立てなくなったんだ!」


シャルレーヌはその言葉を聞いて目を丸くする。

(陛下も止めようとなさっていた情報ではないのかしら。彼の力は周知されてはいても、内容まで漏らしていいとは思えないけれど)

しかし彼が何をしようとシャルレーヌにまったく関係ないではないか。
とりあえずは笑みを浮かべつつ首を傾げた。
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