【完結】魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
小さな声ではあるが静寂に包まれた夜だからこそ、謝罪の言葉はここまで届いた。
横にある木の葉から地面には水滴が落ちていく。
シャルレーヌはニタリと笑ってから指を弾いた。
するとどこからか羽根の音が響く。


「仕事がうまくいかず、気が立っていたのです。どうか温情を……」

「己の未熟さをわたくしのせいにされても困りますわ。泣いて文句ばかり……恥ずかしくてたまりませんね。まるで子どものよう」

「……っ!」


モルガンは顔を上げたが、羞恥心からか顔を真っ赤にしている。
どうやら彼はプライドが高いようだ。
しかしオノレがもう一度名前を呼んだことで再び頭を下げた。
煽れば暴言を吐くかと思いきや、オノレは挑発にのるつもりもないようだ。


「それに陛下に黙っていろとおっしゃいますが……もう遅いと思いますわ」


シャルレーヌは彼らの後ろに視線を向けてから手を広げた。


「それはどういう……」


オノレが最後まで言葉を紡ぐ前に、懐かしい黒い影がシャルレーヌにまとわりつく。
ひんやりとした冷たさにシャルレーヌは擦り寄るようにして抱きしめた。


「まぁ……テネブル、やっぱりあなただったのね」

「テネ、ブル?」

「お久しぶりですわね。また会えて嬉しいわ。毎晩会っていたのに、ここ数日は会えなかったんですもの」
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