【完結】魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
先ほどから蠢いていた影は少しずつシャルレーヌに近づいていた。
オノレがパクパクと口を開いたり閉じたりを繰り返す。


「……それは、まさかっ」


ヴィクトールの闇魔法のテネブルだ。
どうやらまたヴィクトールの元をこっそりと抜け出して来たようだ。
二人はヴィクトールに居場所を伝えていないはずだ。
となれば、テネブルがシャルレーヌの気配を辿り、ここまできたことになる。

(この子、わたくしがいる場所がわかるのかしら)

気のせいかと思ったが、やはり最初に見た影はやはりテネブルだったようだ。
そして彼と会うのは久しぶり。
ヴィクトールがシャルレーヌの元に行かないようにしていたのだろう。
そしてここにいることがわかっているのだとしたら間違いなく……。


「陛下に会話はすべて筒抜けだったかしら」

「……ああ、その通りだ」


急にヴィクトールが現れたため、オノレとモルガンは目を見張っていた。
モルガンはヴィクトールが怒っていることがわかったのか、震えている。


「陛下……これは」


オノレは会話がすべて聞かれていたことを知り、ヴィクトールに咎められると思ったのか。


「こんなところで何をしているかと思えば……モルガン、いい加減にしろ」

「で、ですがこのままでは陛下のお役に立てません! 僕は役立たずにっ……そしたら捨てられる。また牢の中にっ」


最後の声は消えてしまいそうになっていた。
この言葉から情報収集がうまくいかずヴィクトールに捨てられることに怯えてカラスたちを取り戻そうとしたのだ。
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