【完結】魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
(以前、朝食を一口も口にしなかったものね。そう考えてもおかしくないわ)
シャルレーヌは以前、一度だけ闇魔法が見たいといった。
アナベルの魔法も珍しいものだ。興味を持てば変わるかもしれない。
「わたくしの魔法はとても珍しいものなのです」
「そうなのですね」
淡々と答えるシャルレーヌが何を考えているかわからない。
思い通りにならない現実に次第にアナベルの目が血走っていく。
「も、もしかしてわたくしのことが信用ならないのでしょうか?」
「今までのことを考えると信用することはできませんわ」
「そ、そうですわよね……ですが、咳が治ればいろいろなことができますし」
「これはわたくしの唯一の枷のようなものですから」
「…………枷?」
「それがなくなったら、何もかもつまらなくなってしまいますもの」
シャルレーヌはにこやかに微笑んでいる。
治療を断ったことも含めて意味がわからない。
認めたくはないが、彼女はアナベルの力を必要としていないのだ。
(……嘘、でしょう?)
言葉を失い、固まるシャルレーヌを侍女たちが気遣い声を掛けてくる。
必要とされない恐怖は、アナベルの心の奥底にある闇を大きく揺さぶっていく。
このまま部屋から立ち去ることすらできない。