魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
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目を覚ますと心地よい冷たさは消えていた。
ただいつもよりもぐっすりと眠れたことだけは確かだ。
(あら……もう行ってしまわれたのね)
皇帝の前で爆睡してしまったが、それも仕方ないことだろう。
サイドテーブルには食事が置かれている。
どうやらルイかロイが作ってくれたようだ。
二人は暗闇の中、微動だにせずに立ち尽くしていた。
「あなたたちは?」
「もういただきました」
「十分です」
「……そう。それはよかったわ」
シャルレーヌは腕を伸ばしつつ、スープをスプーンですくう。
冷めきったスープを少しずつ飲み込んでいく。
「これだけは面倒なのよね……」
面倒な食事を終えると、窓から爪で引っ掻く音。
何枚にも重なった真っ黒な布を外すと、蝙蝠たちが羽をばたつかせているのが見えた。
シャルレーヌは慌てて窓を開けた。入り込んでくる夜風が冷たくて気持ちいい。
くるりと辺りを見回すと遠くには銀色の玉を咥えたカラスたちの姿が見えた。
シャルレーヌは彼らに手を振りつつ、お礼を伝える。