魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

乱暴に開く扉。ノックもせずに部屋に入り込んできたのは、後宮で働く侍女たちだった。
久しぶりに入り込んでくる光は眩しすぎて目が眩む。


「ちょっと! 真っ暗でなにも見えないわよ……!」

「何この部屋……! 信じられないっ」

「埃っぽいし、別の物置きと間違えたんじゃないの!?」

「ここで間違いないわ。医師が出入りしているのを見たもの!」


二人の侍女がズカズカと部屋の中に入ってくる。
その後ろから一人の侍女が控え目に足を踏み入れた。
それからいろいろなものにぶつかって痛さに悶えているではないか。
シャルレーヌは、その様子を黙って見つめていた。
彼女たちが何をするつもりなのか興味があったからだ。
暗闇の中でストロベリーピンクの瞳が怪しく光っていたが、彼女たちは気づくことはない。
恐らくアナベルかエマニュエルのどちらかの侍女ではないだろうか。

(魔法を使ってわたくしのドレスをぼろぼろにしたり、部屋を燃やしたり、水浸しになってしまったりするのかしら! ウフフ、楽しみだわ)

魔法でシャルレーヌをどんな方法で追い詰めていくのか。
それが楽しみなのだ。


「部屋にいない今がチャンスよ」

「どうしてやろうかしら。これ以上、ひどくなんてできるのかしら」

「あはは! 無理よ。だってこんなに汚いんだもの」

「や、やめましょうよ……」
< 89 / 168 >

この作品をシェア

pagetop