魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
(まぁ……! なかなか鋭い方がいるのですねぇ。これは利用させていただきましょう)

シャルレーヌの唇は弧を描いていた。


「あら、質問に答えてはくれないのかしら?」

「……あっ、ぁ……!」


頭を押さえてしまった侍女の代わりに、二人の侍女が立ち上がった?
その顔は引き攣ってはいたものの、次第に眉は吊り上がっていく。

(まぁ……! 恐怖に打ち勝とうと必死な表情、なんて弱々しくて素敵なのかしら)

シャルレーヌは彼女たちが己を奮い立たせているのを見て感動していた。
今から何をするつもりなのか大体想像はできるが、わくわくすることが起こる気がするのだ。

こちらを指さした侍女はシャルレーヌを責めるように声を上げた。


「アナタのせいで、あの方に怒られたんだから!」

「そ、そうよ! 責任とりなさいよ!」

「あら、なんのことでしょうか?」


シャルレーヌはゆっくりと首を傾げた。
彼女たちの言葉から察するに、アナベルかエマニュエルに八つ当たりでもされたに違いない。
そんな中、一人の侍女は頭を守るように押さえながら一歩、また一歩と後ろに下がっていく。


「……や、やめませんか? なんか変な感じが……っ」

「うるさいわね!」


一人の侍女は涙をこぼして、体を震わせながら二人の侍女服を引いていた。


「──ごめんなさい! もう無理ですぅ!」


耐えきれなくなったのか、怯えたまま部屋を出て行ってしまった。



「ちょっと! 信じられない……!」

「あとで見てなさいよ……!」


こちらを睨みつける二人の侍女は次に何をしてくれるのだろうか。
にこやかに微笑むシャルレーヌは次にどう動くのかを待っていた。
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