魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
(魔法でわたくしを傷つけるのかしら? ルイたちにしたようにずぶ濡れに? それとも風魔法を使うのかしら)
しかし彼女たちはシャルレーヌを罵るばかりで、危害を加えることはない。
そのせいでシャルレーヌから笑顔は消えていく。
(ああ……つまらない)
金切り声が次第に騒音になっていった。
「もう……よろしいでしょうか?」
「は…………?」
「なんですって?」
「気が済んだら部屋から出て行ってくださいませ」
その言葉で今まで人形のように佇んでいたロミとルイが動きだす。
彼女たちを追い出すためだ。
しかし侍女たちは納得がいかないようだ。引くに引けなくなったらしい。
「ふざけないで! なんなのよ、その態度……っ」
「私たちがこんな思いをしてるって言っているのに! 魔法も使えないくせに偉そうにしないでよ」
おもしろみがない罵倒、そろそろ飽きていた。
(侍女がお二人消えたところで、さして気にもしないでしょうし、しばらくはいただいておきましょうか)
シャルレーヌが視線でロミとルイに生け捕りにするよう、指示を出そうとした時だった。
──バシャッ
突然、上から降ってくる水。
全身ずぶ濡れになったシャルレーヌは目を見開いた。
(まぁ不思議、わたくしの真上から水が……)
シャルレーヌはベッドに座っていたため、シーツまでびっしょりだ。
ポタポタと髪から水滴が落ちていくのを呆然としつつ見つめていたが、次第にある感情が込み上げてくる。