失恋した夜、三白眼のエリート海上自衛官に恋しました
4話
翌週の日曜日。
久瀬さんに連れて来られたのは、街と海を一望できる高台だった。
展望台以外で、これほど綺麗に街の夜景が一望できる場所があるなんて知らなかった。
「綺麗……」
すぐ目の前に広がる景色は、地域に暮らす人々の生活を営む無数の灯りが広がり、その向こうには夜の海が見える。
昼間に見ていた厳格な雰囲気を漂わせていた護衛艦は、今は不思議とロマンティックに思えた。
心地よい沈黙──。
「涼帆さん」
「はい」
久瀬さんは夜景ではなく、まっすぐ私を見ていた。
「元カレのことはどうだ? ……その、言いたくなければ答えなくていい」
不意の問いに少し考える。
「まだ、ふと思い出が蘇ってしまうこともあります」
正直に答えた。
時折、元カレとの思い出が蘇っては心が締め付けられている。
「でも、もう大丈夫です」
「そうか」
彼は目を閉じ静かに頷く。風がサァっと吹くと、私の履いていたスカートが海の方角へなびいた。
「洋一さんのおかげです」
「俺か?」
「はい」
あの夜のことを思い出す。
失恋して泣いていた私。そこでの夜の出会い。
『笑った方がいい』
あの言葉に救われた。
「洋一さんと出会っていなければ、まだ元カレのことでウジウジしていたと思います」
しばらく沈黙が流れた。
久瀬さんは何かを決意したように息を吐く。
「涼帆さん」
低く落ち着いた声。
月明かりに照らされた三白眼が、影の中で優しく見つめる。
「あの時、君に出会ってからずっと気になっていた」
「……それは、私もです……」
「合コンで再会した時は驚いた」
口角が上がっている。笑っている顔にも慣れてきた。可愛らしいとすら思う。
「連絡が来るのが楽しみだった。女性と話していて、あんなに楽しいと思ったことがないくらいだったから。また会いたいと毎回思っていた」
普段、口数の少ない洋一さんが、こんなにも素直に思いを伝えてくれる。
それが嬉しくて仕方ない。
「涼帆さん」
大きな手がそっと私の頭を撫でる。
優しくて、厚くて、頼もしい手。
「好きだ」
呼吸が止まる。
「俺と付き合ってほしい」
飾らない言葉。
真っ直ぐな告白だった。
だからこそ胸に響く。
気づけば涙が頬を伝っていた。
「どうした?」
久瀬さんが少し困ったように眉を下げて、私の涙を大きな手で頬を覆いながら親指で拭う。
「泣かないでくれ」
「嬉しくて、つい……」
声が震える。
あの時と同じように泣いている。
でも、理由は全く違う。
「私も、洋一さんが好きです」
言葉にした瞬間、堰き止められていたものが解放され、一気にスッキリした。
自然と笑みが零れる。
久瀬さんは安堵したように、ふっと笑う。
「俺の隣で笑っていてくれ」
「え?」
「泣いてる顔より、笑った顔の方がいい。俺はその笑顔を守りたい」
私は涙を拭いながら笑った。
すると久瀬さんも笑う。
「抱きしめてもいいか?」
「……はい」
ぎゅっと強く抱きしめられたその腕の力強さに、少し苦しくなってしまう。
慣れない腕が私を強く引きつける。
失恋した夜。
海で出会った三白眼の自衛官。
もう二度と会えないと思っていた人は、いつの間にか私の大切な人になっていた。
夜景の向こうで、海に浮かぶ船の灯りが静かに瞬いていた。
久瀬さんに連れて来られたのは、街と海を一望できる高台だった。
展望台以外で、これほど綺麗に街の夜景が一望できる場所があるなんて知らなかった。
「綺麗……」
すぐ目の前に広がる景色は、地域に暮らす人々の生活を営む無数の灯りが広がり、その向こうには夜の海が見える。
昼間に見ていた厳格な雰囲気を漂わせていた護衛艦は、今は不思議とロマンティックに思えた。
心地よい沈黙──。
「涼帆さん」
「はい」
久瀬さんは夜景ではなく、まっすぐ私を見ていた。
「元カレのことはどうだ? ……その、言いたくなければ答えなくていい」
不意の問いに少し考える。
「まだ、ふと思い出が蘇ってしまうこともあります」
正直に答えた。
時折、元カレとの思い出が蘇っては心が締め付けられている。
「でも、もう大丈夫です」
「そうか」
彼は目を閉じ静かに頷く。風がサァっと吹くと、私の履いていたスカートが海の方角へなびいた。
「洋一さんのおかげです」
「俺か?」
「はい」
あの夜のことを思い出す。
失恋して泣いていた私。そこでの夜の出会い。
『笑った方がいい』
あの言葉に救われた。
「洋一さんと出会っていなければ、まだ元カレのことでウジウジしていたと思います」
しばらく沈黙が流れた。
久瀬さんは何かを決意したように息を吐く。
「涼帆さん」
低く落ち着いた声。
月明かりに照らされた三白眼が、影の中で優しく見つめる。
「あの時、君に出会ってからずっと気になっていた」
「……それは、私もです……」
「合コンで再会した時は驚いた」
口角が上がっている。笑っている顔にも慣れてきた。可愛らしいとすら思う。
「連絡が来るのが楽しみだった。女性と話していて、あんなに楽しいと思ったことがないくらいだったから。また会いたいと毎回思っていた」
普段、口数の少ない洋一さんが、こんなにも素直に思いを伝えてくれる。
それが嬉しくて仕方ない。
「涼帆さん」
大きな手がそっと私の頭を撫でる。
優しくて、厚くて、頼もしい手。
「好きだ」
呼吸が止まる。
「俺と付き合ってほしい」
飾らない言葉。
真っ直ぐな告白だった。
だからこそ胸に響く。
気づけば涙が頬を伝っていた。
「どうした?」
久瀬さんが少し困ったように眉を下げて、私の涙を大きな手で頬を覆いながら親指で拭う。
「泣かないでくれ」
「嬉しくて、つい……」
声が震える。
あの時と同じように泣いている。
でも、理由は全く違う。
「私も、洋一さんが好きです」
言葉にした瞬間、堰き止められていたものが解放され、一気にスッキリした。
自然と笑みが零れる。
久瀬さんは安堵したように、ふっと笑う。
「俺の隣で笑っていてくれ」
「え?」
「泣いてる顔より、笑った顔の方がいい。俺はその笑顔を守りたい」
私は涙を拭いながら笑った。
すると久瀬さんも笑う。
「抱きしめてもいいか?」
「……はい」
ぎゅっと強く抱きしめられたその腕の力強さに、少し苦しくなってしまう。
慣れない腕が私を強く引きつける。
失恋した夜。
海で出会った三白眼の自衛官。
もう二度と会えないと思っていた人は、いつの間にか私の大切な人になっていた。
夜景の向こうで、海に浮かぶ船の灯りが静かに瞬いていた。


