約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
誰にも邪魔はさせない
 里菜からの連絡を受けてやって来た梓沙は、その場に里菜と湊だけでなく和葉まで居ることに不満を示す。

「里菜ちゃん、聞いていた話と違くない? 湊さんは私にお話があるのよね? それなのに、そちらの方までいる必要があるのかしら?」

 和葉へ険しい視線を向けながら里菜に問いかける梓沙に湊が静かに口を開いた。

「大内さんには俺の方からそう伝えるように頼んだだけだ。彼女を責めないでくれ」
「里菜ちゃんを庇うなんて……。まあいいわ。それで、お話って何かしら? ようやく私とのことを考えてくださる気になったの? ああもしかしてその為にそちらの方を呼んだのね。離婚するところを間近で見せてくださるとかそういうことでしょう?」

 自分に都合のいい解釈ばかりを並べる梓沙に、その場にいた一同は呆れたような表情を浮かべたけれど、梓沙は周囲の反応など気にも留めず期待に満ちた眼差しで湊を見つめている。

 そんな梓沙に湊は淡々と告げた。

「俺と和葉が結婚したことを大内さんから聞いたことも、そもそも俺や和葉のことを探る為に彼女を利用したことも全て聞かせてもらった」
「はぁ……? 里菜ちゃん話しちゃったの? それって裏切り行為よね。もしかして里菜ちゃんも湊さんのことを好きになっちゃったのかしら? 旦那さんに見向きもされないからって――」
「里菜さんのことを悪く言うのはやめてください!!」

 すると、それまで黙って成り行きを見守っていた和葉が怒りを露わにして声を上げた。

 突然の剣幕に梓沙だけでなく里菜も驚いたように目を見開くけれど和葉は構わず梓沙を真っ直ぐに見据えた。

「貴方のことを思って心配してくれている里菜さんにそんな酷いことを言うなんて……。自分の思い通りにならないからって仲良くしていた人に向かって言っていい言葉じゃないことくらい、分かりませんか?」

 和葉の声には普段の穏やかな彼女からは想像もつかないほどの怒りが滲んでいた。

「それに、人を使って私と湊さんの仲を引き裂こうとするなんて間違っています。そんなに湊さんのことが好きなら、本気で想っているのなら、ご自分で私に向かってくればいいじゃないですか!」

 そして一度言葉を切ると和葉は怯むことなく梓沙を見つめ続ける。

「人を利用することしか出来ない貴方に私は負けるつもりなんてありませんから、いつでも相手になりますよ?」

 きっぱりと言い切った和葉に梓沙は返す言葉を失った。

 大人しく、強く言い返すことなどないと思っていた和葉の思いがけない剣幕に里菜も目を丸くしている。

 一方湊はというと特に驚いた様子もなく怒りに震える和葉の肩へそっと手を添えた。

「和葉、少し落ち着いて」
「……っ」

 優しく宥める声に和葉は唇を引き結ぶも梓沙への怒りは簡単には収まらない。

 湊はそんな和葉の様子を気遣いながら、ゆっくりと気持ちを落ち着かせていく。
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