約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
「和葉、後は俺に任せてくれるか?」

 落ち着きを取り戻した和葉に湊が静かに問い掛ける。

「……ごめんなさい、つい……お願いします」
「分かった」

 和葉の返事に頷いた湊は彼女を守るように一歩前へ出ると改めて梓沙へと向き直る。

「君嶋さん、貴方に俺の気持ちと最後の通告をさせていただきます」

 努めて冷静な声で告げる湊に対し、梓沙は依然として強気な態度を崩そうとしないどころか、

「何よ、何を言われても貴方を諦めるつもりはないんだけど?」

 この期に及んでもなお自分の気持ちを押し通そうとする。

 そんな梓沙を真っ直ぐに見据えた湊ははっきりと言い切った。

「以前も伝えた通り俺には和葉(愛する人)がいる。今は籍も入れて和葉(彼女)とは正式に夫婦になった。この先何があろうと別れるつもりはない」

 そこで一度言葉を切ると湊は背後にいる和葉を意識するように、わずかに視線を動かした。

「例え、いつか和葉(彼女)が俺を嫌いになることがあったとしても俺から手放すつもりはない。俺が生涯愛し、共に歩んでいきたいと思っているのは和葉だけだから」
「……っ、そんなの……」

 梓沙が何かを言い返そうとするも、それを遮るように湊は言葉を続けた。

「俺の気持ちを聞いた上でも納得出来ない、別れさせたい、和葉のことが許せない……そう思うのはアンタの勝手だ。だが、だからといって和葉に危害を加えることは絶対に許さない」

 先程までの落ち着いた口調から一転、湊の声に厳しさが滲む。

「もし和葉や詩音(娘)に何かしてみろ、女だろうと容赦はしねぇ。絶対に許さないし即刻、法的措置を取らせてもらう」
「……っ」
「そうなれば、アンタの親父さんの立場も会社も危うくなるだろうな。自分が何をしようとしているのか、よく考えて行動することだ」

 脅しではなく、あくまで警告として告げられた言葉だけど、それには一切の迷いもなかった。

 和葉や詩音を守るためならば、どのような相手であろうと決して容赦するつもりはない。

 そんな湊の揺るぎない意志が言葉の端々から伝わってくる。

 梓沙は悔しげに唇を噛み締めたものの、今度ばかりは何も言い返せないようで、そんな梓沙に湊は更に念を押す。

「それと、大内さんのことについても伝えておく」

 里菜の名を口にした途端、湊の表情が再び険しくなった。

「彼女は和葉の大切な友人の一人だ。今後彼女を傷つけるような発言をしたり、生活を脅かすような行動を取ったりすることも許さない」

 湊は梓沙の目を真っ直ぐに見つめ、最後に言い放った。

「俺たちだけじゃ無く、彼女にも二度と関わるな」

 和葉だけでなく里菜までも守ろうとする湊の言葉に、梓沙はただ黙り込むしかなかった。
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