約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
「詩音には悲しい思いをさせたくなかったんだけど、今回のことはどうしても避けられないんだ……」

 湊は詩音の目を見つめながら優しく語りかける。

「でもな、これからも詩音がやりたいことは出来る限り叶えてあげたいと思ってる。卓也くんに会いたいって思ったらパパとママに教えてくれ。ちゃんと卓也くんのママと連絡を取って会える日を決めて会いに行こうな」
「……うん」
「新しいお家に行ってもパパもママもずっと一緒だ。寂しくならないように詩音が楽しく過ごせるように二人でいっぱい考えるから。それに新しいところでもきっと素敵なお友達が出来るよ。最初はちょっと緊張するかもしれないけどパパもママも協力するから一緒に頑張ってみよう。な?」

 無理に笑顔を作らせることも、すぐに気持ちを切り替えさせることもせず、湊は詩音の気持ちに寄り添いながらゆっくりと言葉を重ねていった。

 詩音は真剣な表情で湊の話に耳を傾けていたが、やがて小さな腕を伸ばすと湊の身体にぎゅっと抱きついた。

「うん、わかった……! しおん、がんばっておともだちつくるよ!」

 そう言った声は少しだけ震えていたけれど、詩音は顔を上げると涙をこらえるように唇をきゅっと結んで隣に居る和葉にも視線を向けた。

「たくやくんにもあいたい! あえたらたくさんおはなしするよ!」
「うん、そうだね。会えた時は沢山話したり遊んだりしようね」

 寂しさを完全に拭い去ることは出来ないけれど詩音なりに理解したのだろう。

 パパとママが一緒にいてくれること、そして卓也ともまた会えることを胸に詩音は新しい生活を受け入れようとしているようだ。

 湊と和葉は詩音の健気な姿を前に顔を見合わせると、これから先の新しい暮らしが詩音にとってより良いものになるように詩音をしっかりと支えていこうと心に決めるのだった。
< 108 / 124 >

この作品をシェア

pagetop