約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
「顔を出すだけでも……ね?」
和葉が優しく語り掛けると湊は考え込み、
「…………分かった……明日は旅行だし、こんな気持ちを抱えたままで迎えたくはねぇから……今から行ってくるよ」
「うん……気を付けてね」
和葉が頷くと湊は叔父にメッセージを送り、早々に出掛ける支度を始めた。
その様子を見ていた詩音が不思議そうに首を傾げる。
「パパ、おでかけ?」
「ああ、ちょっとな」
「しおんもいきたい……パパとはなれたくない」
湊の服を引っ張りながら寂しそうに訴える詩音の頭を和葉が優しく撫でる。
「ねえ詩音、少しだけだから、ママと一緒に待っていよう? ね?」
「でも……」
「すぐ帰るから、ママと待っててくれ。な?」
支度を終えた湊も詩音の目線に合わせるようにして言い聞かせると、詩音は二人の顔を交互に見つめてから渋々といった様子で頷いた。
「…………うん、わかった」
「いい子だ」
湊は詩音の頭をそっと撫でると和葉に目を向け、
「真宙と千宙に連絡してこれから来てくれるが二人が来るまでは誰が来ても開けなくていいからしっかり戸締りしていてくれ。行ってくる」
「うん、分かってる。気を付けてね」
二人に見送られた湊はマンションをあとにした。
それから少し経った頃、リビングで和葉と過ごしていた詩音がふと思い出したように顔を上げた。
「ねえ、ママ」
「ん? どうしたの?」
「パパ、おしごと?」
詩音のその問い掛けに和葉は一瞬だけ言葉を詰まらせたあとで詩音の隣に座り直した。
「……あのね、詩音。ママのお話、聞いてくれる?」
「おはなし?」
「うん。パパはね、パパのお父さん……詩音にとっては、おじいちゃんなんだけど……そのおじいちゃんのお見舞いに行ったのよ」
「……おじいちゃん? しおんにおじいちゃんいるの!?」
「うん、いるよ」
「しおん、おじいちゃんにあいたい!」
自分に“おじいちゃん”という存在がいたことを初めて知った詩音は瞳を輝かせながら「会いたい」と口にする。
「会うのはね、無理なの」
「えー? どうして?」
「おじいちゃんはね、今ご病気で病院にいるの。沢山の人とは会えないから、パパがおじいちゃんの様子を見に行ったんだよ」
「おじいちゃん、びょうきなの?」
「うん、そうだよ」
「……だいじょうぶ?」
幼いながらも心配そうに尋ねる詩音に和葉はそっと頭を撫でた。
「大丈夫だよ。だから、詩音は良い子で待っていようね」
「うん、わかった!」
詩音は小さく頷くとついさっきまでやっていたお絵描きを再開し、そんな詩音の様子を眺めながら和葉は湊と父親の関係がこれ以上悪化しないことを願っていた。
和葉が優しく語り掛けると湊は考え込み、
「…………分かった……明日は旅行だし、こんな気持ちを抱えたままで迎えたくはねぇから……今から行ってくるよ」
「うん……気を付けてね」
和葉が頷くと湊は叔父にメッセージを送り、早々に出掛ける支度を始めた。
その様子を見ていた詩音が不思議そうに首を傾げる。
「パパ、おでかけ?」
「ああ、ちょっとな」
「しおんもいきたい……パパとはなれたくない」
湊の服を引っ張りながら寂しそうに訴える詩音の頭を和葉が優しく撫でる。
「ねえ詩音、少しだけだから、ママと一緒に待っていよう? ね?」
「でも……」
「すぐ帰るから、ママと待っててくれ。な?」
支度を終えた湊も詩音の目線に合わせるようにして言い聞かせると、詩音は二人の顔を交互に見つめてから渋々といった様子で頷いた。
「…………うん、わかった」
「いい子だ」
湊は詩音の頭をそっと撫でると和葉に目を向け、
「真宙と千宙に連絡してこれから来てくれるが二人が来るまでは誰が来ても開けなくていいからしっかり戸締りしていてくれ。行ってくる」
「うん、分かってる。気を付けてね」
二人に見送られた湊はマンションをあとにした。
それから少し経った頃、リビングで和葉と過ごしていた詩音がふと思い出したように顔を上げた。
「ねえ、ママ」
「ん? どうしたの?」
「パパ、おしごと?」
詩音のその問い掛けに和葉は一瞬だけ言葉を詰まらせたあとで詩音の隣に座り直した。
「……あのね、詩音。ママのお話、聞いてくれる?」
「おはなし?」
「うん。パパはね、パパのお父さん……詩音にとっては、おじいちゃんなんだけど……そのおじいちゃんのお見舞いに行ったのよ」
「……おじいちゃん? しおんにおじいちゃんいるの!?」
「うん、いるよ」
「しおん、おじいちゃんにあいたい!」
自分に“おじいちゃん”という存在がいたことを初めて知った詩音は瞳を輝かせながら「会いたい」と口にする。
「会うのはね、無理なの」
「えー? どうして?」
「おじいちゃんはね、今ご病気で病院にいるの。沢山の人とは会えないから、パパがおじいちゃんの様子を見に行ったんだよ」
「おじいちゃん、びょうきなの?」
「うん、そうだよ」
「……だいじょうぶ?」
幼いながらも心配そうに尋ねる詩音に和葉はそっと頭を撫でた。
「大丈夫だよ。だから、詩音は良い子で待っていようね」
「うん、わかった!」
詩音は小さく頷くとついさっきまでやっていたお絵描きを再開し、そんな詩音の様子を眺めながら和葉は湊と父親の関係がこれ以上悪化しないことを願っていた。