約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
「もしもし、何かあったのか!?」

 真宙が電話に出るや否や湊は焦った様子で尋ねたけれど、

『あ、申し訳ございません。何か問題が起きたわけではないのですが……湊様はまだ病院にいらっしゃいますか?』

 返ってきたのは思いのほか落ち着いた声で、それを聞いた湊は拍子抜けしたように息を吐く。

「……そうか、何もないなら良かった……ああ、まだいるが、もう帰るところだ。やはり、あの人とは分かり合うことが出来ない。時間の無駄だった」

 そう吐き捨てるように告げると真宙は少し間を置いてから口を開いた。

『……湊様、これからお渡ししたいものがございますので、もう暫くそちらに居ていただけないでしょうか?』
「渡したいもの?」
『はい。湊様から会長にお渡しいただきたいものなのです』
「何だ、それは?」
『申し訳ございません。今はまだお伝え出来ません。これからそちらへ参りますので、お待ちいただけますか?』

 何を渡されるのかと疑問に思いながらも、わざわざ真宙が足を運ぶというのだから何か事情があるのだろう。

「……分かった」

 湊は渋々ながらも了承し真宙が到着するのを待つことにした。

 それから三十分程が経ち、病室の外で待っていた湊の元へ真宙が姿を現した。

「申し訳ございません。お待たせいたしました」
「それで、何なんだ? 俺からあの人に渡してほしいものっていうのは」

 待ちかねた様子で尋ねる湊に真宙は持っていた紙袋から一枚の画用紙を取り出した。

「こちらでございます」
「これは……」

 差し出された画用紙を受け取った湊はそこに描かれたものを見て目を見開いた。

「詩音様がお描きになった絵でございます」
「どうして、詩音がこれを……?」

 画用紙には、【しおん、パパ、ママ】と書かれた下にそれぞれに似せたイラストが描かれ、少し拙いながらも一生懸命に書かれた一文が添えられていた。

『おじいちゃん はやくよくなってね』

 そんな思いがけない文字に湊は画用紙から目を離すことが出来なかった。
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