約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
「私と千宙が湊様のお宅へお邪魔した際、詩音様がこの絵を描いていらっしゃいました。経緯を伺ったところ和葉様が詩音様に会長のお話をされたそうで、それを聞いた詩音様がお見舞いの品として描かれたのがそちらでございます」

 そう説明した真宙は湊の反応を窺いながら静かに言葉を続けた。

「これを湊様から会長にお渡しすれば、何か変わるのではないかと思いまして……」

 話を聞いた湊は口元をぎゅっと結ぶと、暫く考え込むように沈黙したあとでゆっくりと口を開く。

「……そうだな、逆にこれを見ても何も変わらないようなら金輪際二度と会うことはない」

 そう言い切ると湊は手にした画用紙を持ち直して再び病室へと足を踏み入れたので、その後に真宙も続いた。

「湊」
「湊くん」

 叔父と大我がそれぞれ声を掛けるも、湊は二人に応じることなく真っ直ぐ父親の元へと歩み寄る。

「これを」

 そして短く告げた湊は手にしていた画用紙を差し出した。

「何だ?」

 父親が怪訝そうに尋ねると湊は淡々と言い放った。

「いいから見てみろ。俺の娘からアンタにだ」
「お前の……娘……」

 父親はその言葉を繰り返しながら差し出された画用紙を受け取り、そこに描かれたものに目を落とした瞬間、

「……っ」

 言葉を失った。

 画用紙を持つ手がかすかに震え始め、それまで険しい表情を浮かべていた父親の顔がみるみるうちに変わっていく。

 その異変に気づいた叔父と大我は何事かと父親の側へ歩み寄って画用紙を覗き込んだ。

「これは……」

 二人は描かれたものを目にした途端、言葉を失った。

 病室には沈黙が落ちて誰もが父親の反応を窺い何が語られるのかを待っていたのだが、

「…………こんな、……もの……」

 ようやく父親が口を開いたと思えば皆が予想していた反応とはあまりにも違い、流石の叔父と大我は思わず声を上げた。

「兄さん!」
「伯父さん!」

 父親を咎めようとした二人だったが、その直後、父親の口から紡がれた言葉に揃って動きを止めることとなった。
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