約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
「おじーちゃん、だいじょうぶ? どこかいたい?」

 ベッドの傍らに立った詩音が心配そうに父親の顔を覗き込む。

「いや、大丈夫だ。どこも痛くないよ」
「そっか! よかった! あっ、しおんのえ、みてくれた? おじーちゃんのおかお、わからなかったからかけなくて…………いまからかいてもいい?」

 そう尋ねる詩音に父親は一瞬言葉を詰まらせたものの、すぐに穏やかな笑みを浮かべて答えた。

「……あ、ああ。勿論だよ」
「ママ、しおん、おじーちゃんのおかおかくから、がようしとクレヨンちょーだい!」
「分かったわ。それじゃあ、あっちで描こうね」
「うん!」

 元気よく返事をした詩音を連れた和葉はベッドから少し離れた場所に設置されたテーブルと椅子の元へ向かい、持参していたお絵描きセットを広げると詩音がすぐに描き始められるように画用紙とクレヨンを用意する。

 その様子を見届けた父親は改めて湊へと視線を向けた。

「……湊、ありがとう…………孫を、連れて来てくれて……」

 感謝の言葉を口にする父親に湊は静かに答えた。

「……詩音が、アンタに会いたいと答えたからな」

 そう告げたあとで湊はわずかに目を細める。

「……ただ、俺はアンタを許したわけじゃない。俺や和葉にしてきたことを思えば当然だろ? そう簡単に許せるわけねぇんだよ……」

 そこには父親に対する複雑な感情と今尚消えない怒りが滲んでいた。

「……湊……」

 二人の間に立つ叔父は心配そうにその様子を見守る中、父親は一度視線を落として躊躇いがちに口を開いた。

「……和葉さんにも、謝罪させてほしい…………」

 その言葉と共に父親は和葉のいる方へ目を向ける。

 直接話をさせてほしいという思いを込めて湊に訴えかけると暫く父親を見つめたあとで叔父へと視線を移した。

「叔父さん、少しだけ詩音を見ていてもらえますか?」
「ああ、分かった」

 叔父が頷いたのを確認すると湊は詩音を叔父に託して和葉の元へ歩み寄る。

「和葉、親父が……和葉と話したいって言ってるんだけど…………いい?」

 そして父親が話があることを告げるとそれを聞いた和葉は、

「私も、お話したいことがあるから、お願い出来る?」

 自分も話があると頷いて湊と二人で父親の居るベッドの方へ歩いて行った。
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