約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
「湊さんと別れるように言われたことや、彼との子供についての発言は今でも許せないと思うことがあります。ですが、私自身も親になって当時のお義父様が子供を思う気持ちは以前よりも理解出来るようになったつもりです。それに、今のお義父様の涙や謝罪に嘘偽りはないと思いますし、何より孫である詩音に優しく接してくださったことが私は嬉しかった……私たちを受け入れてくださって、ありがとうございます。ただ、すぐに私も湊さんも気持ちの整理をつけることは出来ませんし、これまでのことを何もなかったことには出来ません。それでも……これから少しずつ、お互いに歩み寄っていけたらと私は思っています。そして詩音にとって、大切で大好きな『おじいちゃん』でいてくださったら……嬉しいです」

 和葉がそう告げると湊は彼女の思いを全て受け止めるように穏やかな表情を浮かべ、一方の父親は再び目に涙を浮かべると声を震わせながら何度も頭を下げる。

「和葉さん……本当に、ありがとう……」

 止まりかけていた涙が再び頬を伝い、父親は「ありがとう……本当にありがとう……」と感謝の言葉を繰り返した。

 そんな中、

「かけた!!」

 元気な声が病室に響き、詩音が再び三人の元へ駆け寄って行く。

「みてー! おじーちゃんのおかお、かけたよ!」

 得意げな笑顔で差し出されたのは画用紙いっぱいに描かれた似顔絵だった。

「はい、おじーちゃん、どーぞ!」
「おお……!」

 父親は涙を拭いながら詩音から画用紙を受け取った。

「すごいなぁ……詩音ちゃんは絵が上手だね。ありがとう、大切にするからね」

 一生懸命に描かれた絵を見つめながら父親は再び瞳を潤ませ、詩音は嬉しそうな笑顔を浮かべていた。

「……親父、叔父さん。今日のところはこれで失礼するよ」
「ああ、今日はわざわざありがとうな」
「……湊、和葉さん、本当にありがとう……」

 父親と叔父が感謝の言葉を述べていると、詩音が思い出したように声を上げる。

「あのね、しおんたちね、これからりょこーいくんだよ!」
「旅行?」

 思いがけない話に叔父が目を丸くする。

「ええ、その……渡米する前に国内旅行をしようと思っているんです」

 湊がそう説明すると叔父は一瞬、驚いたような表情を浮かべた。

「渡米……」

 その言葉を繰り返したあとで叔父が何かを言いかける。

「湊、そのことだが……」

 けれど湊は叔父の言葉を遮るように静かに首を横に振る。

「すみません、今その話は……。今後については日を改めて話をさせてください」
「ああ、そうだな、すまない」

 湊の言葉に納得した叔父はそれ以上は何も言わず静かに頷いた。

「それでは、今日のところはこれで失礼します」
「おじーちゃん、おじちゃん、バイバーイ!」
「失礼します」

 こうして話を終えた湊たちは父親と叔父に見送られながら病室を後にした。
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