約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
 その後、街へ繰り出した三人は食事を楽しんだり目に留まったお店に立ち寄ったりと思い思いに時間を過ごした。

 明日からはレンタカーを借りて観光する予定ということもあり、この日は早めにホテルへ戻って休むことにした。

 しかし、移動中に眠っていたことに加え旅行の高揚感もあってか詩音はなかなか寝付けない様子だった。

 布団に入ってからも目を輝かせながら楽しそうにお喋りを続けている。

「詩音、そろそろ寝ないと明日起きられないよ?」

 和葉が優しく声を掛けると詩音は布団の中でもぞもぞと動きながら答えた。

「だってぇ、ねむくないんだもん!」
「目を瞑っていれば、そのうち眠くなるわよ」

 そう促しても詩音まだ話し足りないようで、不満げに口を尖らせる。

「でもぉ……」
「詩音は今日、楽しかったか?」

 そんな詩音に湊が話題を変えるように尋ねた。

「うん! ごはんもおいしかったし、おみせをたくさんみたのもたのしかった!」
「そうか、それなら良かったよ」

 満足そうに頷く湊に詩音は更に嬉しそうな笑顔を浮かべる。

「でもね、きょういちばんうれしかったのはね、おじーちゃんにあったことだよ!」
「詩音……」

 思いがけない言葉に湊は一瞬言葉を詰まらせた。

「……そうね。おじいちゃんに会えて嬉しかったわよね。また今度、みんなで会いに行こうね。いいよね、湊さん?」
「ああ……そうだな」

 和葉の言葉に湊が頷くと、詩音は何かを思い出したようにぱっと顔を輝かせた。

「そうだ! おみやげ! おじーちゃんにもかわなきゃね! あと、まひろおにーちゃんと、ちひろおにーちゃんと、たくやくん!」
「そうだね。みんなにも買っていこうね」
「詩音は優しいな」
「えへへ!」

 二人に褒められた詩音は照れくさそうに笑った。

 そんな他愛のない会話を続けているうちに眠気が訪れたのか詩音は小さな手で目元を擦り始めた。

「ほら、そろそろ寝よう?」
「うーん……」
「詩音、パパとママと手を繋いで寝よう。な?」

 湊が片手を差し出し和葉も反対側から詩音の手をそっと握る。

「うん……」

 二人の手に包まれ詩音は安心したように目を閉じた。

 先程まであれほど賑やかだったお喋りもいつしか聞こえなくなり、ほどなくして小さな寝息が聞こえてくると二人は詩音の寝顔を見つめながら視線を合わせて微笑み合う。
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