約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
 詩音のお遊戯会を明日に控えた仕事終わりの夜、車に乗り込んだ湊は帰宅する前に久しぶりに和葉へ連絡を取ることに。

 明日のことを話すだけ、そう思いながらスマートフォンを取り出して電話をかける。

 すると――、一度目のコール音が鳴った直後に電話が繋がった。

「もしもし和葉――」

 名前を呼んだ、その瞬間だった。

『湊さん、助けて!!』

 和葉の切羽詰まった声が湊の耳に飛び込んできた。

「和葉、どうした!? 何があった!? 今、どこにいるんだ?」
『家に……。ついさっき、家に着いたんだけど……部屋に入ったら、窓が開いてて……。おかしいと思って確認したら、鍵が壊されてて……部屋の中も……荒らされてて……』
「なっ……!? 今も家の中にいるのか!?」
『ううん……怖くて……詩音と一緒に外に出たの』

 和葉の声は今にも泣き出しそうな程に怯えている。

『今、警察に電話しようとしてたら……湊さんから電話がかかってきて……』
「そうだったのか。とにかく、俺が電話を切ったらすぐ警察を呼ぶんだ。俺もすぐに向かうから」
『でも……』
「いいから、まずは警察に電話だ。それと絶対に家の中には戻るな。警察が来るまで詩音ちゃんと一緒に安全な場所にいてくれ。いいな?」
『……うん。分かった』
「それじゃあ、すぐに行くから」

 それだけ告げて湊は電話を切ると、すぐにエンジンを掛けて車を発進させた。

 ハンドルを握る手に力が入る。

 三十分程の道のりがもの凄く長く感じられ、極力最短ルートで向かっていく。

 そして約二十分後、和葉の住むアパートへ到着すると既にパトカーが停まっていた。

 その光景を確認した瞬間湊は安堵する。

 そして急いで車を降りると和葉の部屋へ走っていき、

「和葉!」

 部屋の前で女性警察官と共に待機している和葉と詩音の姿を見つけると、

「湊さん……」
「おにーちゃん!」

 湊は周囲の視線も気にせず一目散に二人の元へ駆け寄った。

「……無事で良かった」

 そして思わず漏れた声に和葉が小さく頷いた。

「怖かった……」
「もう大丈夫だ」

 泣きそうな和葉がポツリと呟くと湊は肩を抱き寄せた。

 部屋の中では警察が中を調べていて、よく見てみると結構派手に荒らされているように見えた。

(一体、誰が……何の目的で)

 湊は思う。

 これは本当にただの空き巣なのか。

 それとも、和葉を狙う何者かの仕業なのか。

 湊の胸の奥に嫌な予感だけが広がっていた。
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