約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
覚悟
「何なんだ、あの女は!」
車に乗り込んだ途端湊は怒りを抑えきれないように吐き捨てた。
先程のやり取りを思い出すだけで腹の底から苛立ちが込み上げてくるのだろう、怒りが収まらないようだ。
運転席に座る真宙はバックミラー越しに湊の様子を窺いながら口を開いた。
「君嶋家のご令嬢はだいぶ性格が悪いようですね……」
「ああ。聞いていたのか」
「はい。いつ入るべきか様子を窺っておりました。ただ……あまりにも酷い有様でしたのでつい話の途中で入ってしまいました」
「いや、むしろ来てくれて助かった」
湊は大きく息を吐くとシートに身体を預けた。
「あのまま二人きりだったら俺はアイツを殴っていたかもしれねぇからな」
「そうですか。それならお役に立てたようで何よりです」
真宙は苦笑しながら前を向く。
「社長、これからどうされますか?」
「親父のところへ行く」
「畏まりました」
車はそのまま湊の実家へ向かって走り出し、三十分程して到着した。
車が完全に停まるのも待ちきれないとばかりに降りた湊はそのまま父親の元へ向かい、部屋に入るなり声を張り上げた。
「親父! どういうことだよ!!」
「何だ、騒々しい」
父親は書類から顔を上げると眉をひそめた。
「ふざけるのもいい加減にしろよ!?」
「ふざけているのはどっちだ?」
父親は冷静な態度で湊を見据える。
「君嶋家のご令嬢に随分な態度を取っていたそうだな」
「何とでも言えよ」
湊は吐き捨てるように言った。
「あんな性格の悪い女、あれくらいの対応で充分だ。それより――和葉のこと、知っていたんだな」
「当然だ。あんなどこの馬の骨とも分からぬような女とは早く別れろ。お前ももういい加減目を覚ませ。あの女は我が家には相応しくない」
「……またそれか。利益だの家柄だのそんなものばかりで人を決めつける。俺はそういう考えにはもううんざりなんだよ」
「何も分かっていないのはお前だ」
「何と言われようが俺は和葉と別れるつもりはない」
湊は一歩も引かずに父親を睨みつけた。
「それにどうしても納得できないって言うなら、俺は鳴海家との縁を切る。社長の座も降りる。会社のことも後は親父の好きなようにすればいい」
「お前は何も分かっておらん。縁を切るだの社長の座を捨てるだの……そんなことが簡単にできると思っているのか?」
「うるせぇな、簡単かどうかなんて関係ない。俺は自分の意思で決めたんだ」
「会社にはお前の責任が――」
「そんなことは分かってる!」
湊は苛立ちを滲ませながらもはっきりと言い切った。
「だからこそ、今まで俺なりにやってきた。それなのに俺が大切にしている人まで家柄や利益だけで否定されるのはもう我慢できねぇ。親父が和葉とのことを認めてくれるっていうなら考え直してやってもいい。それが無理ならもう俺のことは諦めてくれ」
そして、最後に念を押すように言った。
「それと――今後和葉に何かするようなことがあれば、俺も容赦はしない。あの性悪女にもよく言い聞かせておけよ。二度と和葉に近づくなってな」
それだけ言うと湊は踵を返した。
「待て!」
背後から父親の声が飛んできたが湊は振り返ることなく部屋を出ていく。
残された父親は閉じていく扉を睨みつけながら険しい表情を浮かべていた。
車に乗り込んだ途端湊は怒りを抑えきれないように吐き捨てた。
先程のやり取りを思い出すだけで腹の底から苛立ちが込み上げてくるのだろう、怒りが収まらないようだ。
運転席に座る真宙はバックミラー越しに湊の様子を窺いながら口を開いた。
「君嶋家のご令嬢はだいぶ性格が悪いようですね……」
「ああ。聞いていたのか」
「はい。いつ入るべきか様子を窺っておりました。ただ……あまりにも酷い有様でしたのでつい話の途中で入ってしまいました」
「いや、むしろ来てくれて助かった」
湊は大きく息を吐くとシートに身体を預けた。
「あのまま二人きりだったら俺はアイツを殴っていたかもしれねぇからな」
「そうですか。それならお役に立てたようで何よりです」
真宙は苦笑しながら前を向く。
「社長、これからどうされますか?」
「親父のところへ行く」
「畏まりました」
車はそのまま湊の実家へ向かって走り出し、三十分程して到着した。
車が完全に停まるのも待ちきれないとばかりに降りた湊はそのまま父親の元へ向かい、部屋に入るなり声を張り上げた。
「親父! どういうことだよ!!」
「何だ、騒々しい」
父親は書類から顔を上げると眉をひそめた。
「ふざけるのもいい加減にしろよ!?」
「ふざけているのはどっちだ?」
父親は冷静な態度で湊を見据える。
「君嶋家のご令嬢に随分な態度を取っていたそうだな」
「何とでも言えよ」
湊は吐き捨てるように言った。
「あんな性格の悪い女、あれくらいの対応で充分だ。それより――和葉のこと、知っていたんだな」
「当然だ。あんなどこの馬の骨とも分からぬような女とは早く別れろ。お前ももういい加減目を覚ませ。あの女は我が家には相応しくない」
「……またそれか。利益だの家柄だのそんなものばかりで人を決めつける。俺はそういう考えにはもううんざりなんだよ」
「何も分かっていないのはお前だ」
「何と言われようが俺は和葉と別れるつもりはない」
湊は一歩も引かずに父親を睨みつけた。
「それにどうしても納得できないって言うなら、俺は鳴海家との縁を切る。社長の座も降りる。会社のことも後は親父の好きなようにすればいい」
「お前は何も分かっておらん。縁を切るだの社長の座を捨てるだの……そんなことが簡単にできると思っているのか?」
「うるせぇな、簡単かどうかなんて関係ない。俺は自分の意思で決めたんだ」
「会社にはお前の責任が――」
「そんなことは分かってる!」
湊は苛立ちを滲ませながらもはっきりと言い切った。
「だからこそ、今まで俺なりにやってきた。それなのに俺が大切にしている人まで家柄や利益だけで否定されるのはもう我慢できねぇ。親父が和葉とのことを認めてくれるっていうなら考え直してやってもいい。それが無理ならもう俺のことは諦めてくれ」
そして、最後に念を押すように言った。
「それと――今後和葉に何かするようなことがあれば、俺も容赦はしない。あの性悪女にもよく言い聞かせておけよ。二度と和葉に近づくなってな」
それだけ言うと湊は踵を返した。
「待て!」
背後から父親の声が飛んできたが湊は振り返ることなく部屋を出ていく。
残された父親は閉じていく扉を睨みつけながら険しい表情を浮かべていた。