約束の続きをもう一度~再会した御曹司の彼は、娘ごと私を甘やかして離しません~
あの頃から変わらない
 ショッピングモールに到着すると湊が車を立体駐車場に停め、三人は店内へと足を踏み入れた。

「さて、まずは何から見ようか」

 案内板を見ながらそう話していた時だった。

 可愛らしいクマのぬいぐるみを抱えた子供が目の前を通り過ぎると、その姿を見つけた詩音は和葉の服の裾をちょんと引いた。

「ママ、しおんもあれほしい」

 甘えるように強請る詩音に和葉は困ったように笑う。

「ぬいぐるみなら、昨日お兄ちゃんにプレゼントしてもらったでしょ?」

 すると詩音は頬を少し膨らませながら、

「おにーちゃんがくれたリリちゃんのおともだちにするんだもん」

 と譲る気を見せない。

 そのやり取りを微笑ましく見ていた湊は周囲を見回しながら口を開いた。

「ぬいぐるみなら、おもちゃ屋かゲームセンターにありそうだな。どっちから行ってみる?」
「いいの。詩音の言うことは気にしないで」

 湊の提案を和葉が遠慮がちに断るも、

「せっかく来たんだし、色々見て回ればいいよ」

 そう言うと、湊はその場にしゃがんで詩音と目線を合わせた。

「詩音ちゃんはゲームセンターとおもちゃ屋、どっちから行きたい?」
「ゲームセンター、いきたい!」

 普段行くことのないゲームセンターに行けると分かった詩音は瞳をキラキラと輝かせながら元気よく答える。

「よし。それじゃあ行こうか」

 そんな詩音を可愛いと思った湊は優しく微笑むと立ち上がって詩音の手を握り、和葉の方を振り返る。

「和葉も早く」

 その一言に戸惑いながらも、「うん」と頷いた和葉は手を繋いで楽しそうに歩く湊と詩音の一歩後ろを歩きながらゲームセンターへ向かって行った。

 少しして三階にあるゲームセンターに着くと、

「うわぁー! すごい!! かわいいぬいぐるみたくさん!!」

 沢山のクレーンゲームに様々なぬいぐるみが並んでいる光景を目の当たりにした詩音は、「すごい」と言いながらはしゃいでいた。

「ママ、これ! しおんもやりたい!!」

 クレーンゲームをやっている大人を見た詩音が自分もやってみたいと、お目当てのぬいぐるみが並んでいる筐体の前に立って和葉にアピールする。

「詩音には難しいと思うよ? ほら、あっちの小さい機械ので遊ぼうよ。ね?」

 一度や二度で取れるものでは無いと分かっている和葉は、取れなくて機嫌を損ねないよう、子供向けの簡単そうな台を指差しながら誘導しようとするも、詩音はどうしても大きい台でやりたいらしく、

「やだ! しおんこれがいい!」

 頬を膨らませて怒り出す。

 そんな中、二人のやり取りを見兼ねた湊が、

「詩音ちゃん、それじゃあ俺と一緒にやってみよう」

 詩音に自分と一緒にやってみようと声を掛けた。
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