夜を誘惑する華――Jazz singer
 ◇◇◇

 Cats that gather at nightが始まる少し前の時間。
 本来なら準備中の時間帯に呼び出されて向かう。

「こんにちは」
「……ごめんね。いきなり呼び出して」

 いつもと違う雰囲気に特別感を感じる。ジャズの音楽も流れていない静かな場所は、まるで知らない場所に迷い込んだみたいだった。

 カウンターに案内をされて座る。
 どうやら私が一番早く来たみたいだ。待ち時間に、ネコからクッキーと珈琲をサービスで頂き過ごしていると、扉のベルが鳴り響いた。

 視線を向けると、175センチぐらいの身長の男性が入って来た。私の親より年齢の高く見える男性はとても穏やかに見える。

「あらぁ、いらっしゃい。来てくれてありがとうね。こっちこっち」

 ネコは手招きをすると、カウンターまで向かい。一つ席を飛ばして左側に座った。

「夕魅ちゃん、紹介するわね。こちらは積島(せきじま)さん。ピアノがとっても上手で素敵なのよ。教えるのも上手で、私の息子も教えて貰ったの」

 紹介中にベルが鳴り響く。ドアの方向を向くと、見覚えがある男性が入って来た。

「……んっ。夕魅ちゃん?」
「……え? 湊さん!?」
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