夜を誘惑する華――Jazz singer

第5話 仲間

「どうして夕魅(ゆみ)ちゃんがここに?」

 私の事を見つめながら、困惑している湊(みなと)は問いかけると、ネコが説明をした。

「あらぁ……二人は知り合いだったのね。湊ちゃんも積島(せきじま)さんも聞いて。この子が紹介したいって伝えたシンガーよ」

 お互いに驚いた表情を見せると、湊は積島の隣に座って話し掛ける。
「色々聞きたいことがあるんだけど……積島さんは、誰とも組まないんじゃなかったの?」

 積島は深く息を吐くと話す。
「ネコに一度歌声を聴いたら分かるって言われて来たんだ。湊も……誰とも組まないんじゃなかったのか?」

「俺もここに来た経緯は一緒だよ」

 二人の関係が気になり聞いて見る。

「あー、何て話せば良いんだろ。お互いソロで活動してるんだけど、昔一緒にセッションをする機会があって……その時から話す仲になったんだ。誰かと組む事が想像が付かなくて、会って早々気になってしかなかったんだ」

 仲が良いんだなぁと思い話しを聞いていると、湊は質問をする。

「夕魅ちゃんは前に話した時、最近ジャズを知ったって話しだったけど、その前から歌とかやってたの……?」

 ジャズをきっかけに歌い始めたことを伝えると……心配そうに頭を片手で押さえて、息を漏らした後、ネコの方を向く。

「私が夕魅ちゃんの歌声を保証するわ。さぁ! まずは聴いてみましょう」

 ステージの方へ移動をして、3人が見ている中マイクを掴んだ。
 前回と同じスミレの曲を流すと……また、取憑かれたように歌い始める。次第に2人は驚いた表情をすると、真剣に聴き始めた。

 歌い終わると、長年の探し物をようやく見つけたように、ほっとした笑顔に変わる。

「驚いたよ。想像以上だった」
「私もだよ……良かったら夕魅さん。一緒に組みませんか?」

 2人に誘われて、話し合いの結果。両方と組むことになった。
 積島さんはステージに上がると、ピアノの椅子に腰を下ろす。

「心地よい、心が躍る歌声を聴かせて貰った。これは私からのお返しだよ。湊も一緒にどうかね?」

 湊はケースを開けて、トランペットを取り出すとステージに上がる。
 2人が並んで居る姿は……長年共に歩み、奏でていたんじゃないか? と思うほどに様になっていた。

 トランペットを高々と鳴り響きかせ、飛び跳ねるように気持ちが躍る音色を、ピアノが追うように奏でる。

 2人は心が通じているようにリズムを合わせた。即興とは感じさせないほどメロディーは、気持ちが高揚して引き込まれる。この場所にいる全員が、笑みが溢れる程の素敵な空間が広がった。
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