**confection**




「あ〜〜……気持ちワルっ。明日が休みで良かった…」



先に潰れた俺はともかく、龍雅と宗太はきっと、とことん付き合わされたに違いない。



「大丈夫?宗太顔色悪いよ」



「俺高校生なんだけど…。俊はスナックの常連のオヤジか?」



内心申し訳なく思いつつも、ホッとする。


俊が本気で底無しな訳だから、こっちの身が本気で危うくなるから。



それに、俺は大して酒に強い訳でもないし、いたって普通だろうからなあ……。



「将来が楽しみだね。今でこそこんなだし」



「…勘弁してくれ……って、ももだっていつか餌食になるぞ」



「…そうなっちゃいます?」



「なっちゃいます」




宗太ともものやり取りに、ふっと頬が緩む。


何気ない会話の中に、自分達の将来を予想させる内容に、ずっとこうやってつるんでけるのか。と、胸が暖かくなる。



俺自身、居心地が良いのが一番の理由でもあるし、なによりもこのメンバーでは素顔で居れる気がしたからだ。



そんな中、突然ももの携帯が慌ただしく着信を知らせる。


一瞬音にピクリと驚いたももが、慌てて音量を下げながら画面を覗き込む。



きっと、まだ寝ているメンバーに気を使ってだろう。


でも、画面を覗き込んだももの表情が、分かり易く歪んだ。



……なんだ?どうしたんだろう。誰からだ…?




「…ゴメン、ちょっと電話してくるね」




眉を寄せたのは一瞬で、取り繕ったようにして貼り付けたような笑顔を見せたももに、何故か嫌な感覚を覚えた。
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