**confection**
「え、生徒会勧誘?」
「こんな時期に?一年を?」
龍雅の言葉に、俊が答える。
様々な憶測は浮かぶが、どれもしっくりこない。
てゆーか、それ以外の何物でもない雰囲気しかない。
「どーみたって決まってるだろ〜」
「うわ〜!!絶対もも困ってる!!」
あー…嫌だ。
思い切り、何かを蹴り倒してしまいたい。
ぐっと握り締めた拳は、爪が手のひらに食い込んで痛む。
宗太の確信めいた言葉にも、美春のそんな言葉にも、返す言葉すらない。
口を開けば、溢れ出してしまいそうだった。
なにしてんだ?…俺。
願わくば、ももが顔を縦に振らないように……。
「やべえ!!めっちゃドキドキする!!俺どうしよ!!」
「今更、龍雅はどうにもできねえな〜」
「え!!宗太そんな事言っちゃう!?てか今関係なくない?!」
鼓動がこめかみまで響いてくる。
息が苦しくて、胸が呷っているようだ。
俺の見つめる先に、小さなももの姿。
その体が、微かに動いた。
「お?…って、るぅ!?」
踏み出した一歩が、物凄く重い。
俺はその瞬間、屋上の敷地内へと足を踏み入れていた。