『naturally』
「だから、愛情を貰うことに慣れてしまっているあの子が、きちんとあなたに愛情を伝えられているのかが心配だったの。ごめんなさいね? 親バカで」
王妃の言葉にシェナは慌てて首を振って否定してみせた。
「リューシュは人の気持ちに敏感です。それにっ、リューシュは沢山受けてきた愛情を与えることの出来る優しい人だから……。だから、むしろ……わたしの方が心配です」
いつでも自分を一番に想ってくれている。
それは痛いくらい自分が感じてる。
その反面、シェナにはある不安が結婚した今でもぬぐい去れずにあった。
いや、結婚した今だからこそ、その不安は日増しにシェナの中で大きくなっていく。
「心配?」
「はい……。わたしの育った環境、存じられていますか?」
どんどん曇っていくシェナの顔を優しく見つめ、王妃は問いかけに答える。
「亡くなられた弟さんの代わりに剣術をされていたことね。リューシュから聞いているわ」
「わたしにも出来の良い姉が二人居たんです。母はクロチェ国の人間じゃないことを常に気にして、姉たちを身分の高い貴族と結婚させることに心血を注いでいました」