キミと、世界の果てまで。



「そう、ミライは大切な人を護りたいのだろ?」



「うん…」



「ミライの指し示す“大切な人”とは、友人や家族、ミライの住んでいる町の住人など、恋という感情には関係ない人も、たくさん含まれている」



「うん…」



「護る人はたくさん居るのだ。チャームがいつ現われて、ミライやレン様を襲うか予想もつかない。そんな今の現状を知っておかないと、この世界は手遅れとなるぞ」



「うん…」



「恋という感情に振り回されないように、気合いを入れて警戒するのだ。俺からの警告はそれだけだ」




クロスは杖を持ったまま、あたしからどんどん遠退いていく。


その姿を、心此処に在らず、とでも例えられるような心情で、ずっと見つめていた。



―――そっか。

あたしには、恋だ、青春だ、と騒いでいる暇などなかったんだ。


感情を押し殺してでも、人々を救う為に活動しなければいけないんだ。



夢はそっと、醒めて行く―――



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