キミと、世界の果てまで。



そして、ゆっくりと声のした方に身体を向ける。



―――綺麗、だ。

それを見てまず浮かんできたのは、この言葉だった。



向こうの世界に進もうとしていてあたしを止めたのは、見覚えの無い顔の少年。


意志が強そうな瞳に、クロスの形をした杖を持っている。


見た目あたしと同世代に見えるが、彼の瞳だけは、何故か大人びて見えた。




「行くなミライ」




どうして、あたしの名前を知っているのだろう。


そんな疑問を、一旦は口に出しかけるが、慌てて身体の中にしまい込む。



折角決心を固めたのに。

地球を去る勇気を持ったのに。




「お前にはまだやる事がある。そうだろ?ミライ」




見ず知らずのアナタがそんな事を言うから、あたしはどうしたいのかが分からないじゃない。




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