キミと、世界の果てまで。



目の前の少年は、クロスの杖をあたしに向かって構え、言葉を続ける。




「この世界は、ミライの夢の中。こちらの方が、ミライが造り出している仮想の世界なのだ」



「という事は、レンが現われたのは現実って事…?」



「勿論。あのお方は地球を救う為に、この世界へと赴いて下さった方だからな」




この少年の言い様からして、レンはかなりのお偉いさんらしい。


溜まっていた唾を、一気に飲む。


緊迫感が、あたし達二人をすっぽりと覆い隠していた。




「ミライ、現実世界へと戻れ。そして、レン様と共にこの世界を救うのだ」



「って、何すんの…!?」




少年が持っているクロスの杖に、光が集まっていく。


暗闇の中に浮かぶ、ひとつの光。


それは、あたしがずっと欲しいと願っていた代物だった。




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