キミと、世界の果てまで。



よくよく考えれば、矛盾点がたくさんある。


夢の中で、あの綺麗な顔立ちをした少年―――クロスは、確かにはっきりと言った。


あたしの経験した出来事は、全て現実なのだ、と。



現在進行形であたしのベッドに腰掛けている、レンがいい証拠だ。


ブルーの瞳は変わらないままだけど、銀色の翼はどこかへ消えて、黄金の剣も辺りを見渡す限り見付ける事は出来ない。


だが、レンが此処に存在している以上、この地球は壊滅状態に陥っていて、あたし自身の命も危なかったという事実は残ったままなのだ。



なのに…




「どうして全てが元通りになってるの…!?」




地球はあれ程残酷な仕打ちを受けたというのに、いつもと変わらない風景が、あたしの五感全てを刺激する。



窓から見える木も、

優雅に鳴いているセミも、

近所の公園から聞こえてくる、子供達の笑い声も、

おまけに、跡形も無いハズのあたしの家も、



―――全てが、元通りになっていた。




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