ヤンデレ彼氏に監禁されて
やっと食べ物をきちんと食べれるようになったのは、半年後


毎日のように吐かなくなったのは、その二ヶ月後


時が経つのは当たり前だが、私にとっては救いの手だ


長い時間だろうとも、あの時は『思い出』となる


恐怖、気持ち悪さも、『あの時』に比べれば微々たるもの


大学二年の冬


私は何とか『まとも』になっていた


彼は、牢獄


音沙汰なしに、平穏で、平和ぼけみたいな感覚さえ覚えた


――なのに


その彼が、脱走したという


知ったその日は――いや、一週間は部屋に閉じこもりまた狂った


再発だ
洗面所から動けなくなるほどの吐き気


インターホンが鳴る度に、心臓が破裂しそうになる


『会いに来る』


それが頭に刻まれたままなのだから


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