心 ―ハジマリノウタ―
レイが去って行ってしまった後、
私とリヴィアは、顔を見合わせたが、
それ以上彼を追いかけることはしなかった。
しかし、私の胸には、
何かずっしりと重いものが残り、
レイの不安げな表情が
目から離れない。
リヴィアも同じような様子で
私に言った。
「どうせ今はロックにとめられて、
訓練は再開できない。
今日も自由にしてていいよ。
あたしも少し行くところがある」
リヴィアの強い視線に出会って、
私は頷いた。
リヴィアは退院はしたものの
貧血などの症状が
まだ回復していない!と
ロックに訓練を禁止されてしまったのだ。
そのため、私たちは
ここのところは、
ずっと本を読んで過ごしていた。
「分かりました。
私は、レイを追いかけます」
私がそう言うと、
リヴィアも納得したように頷いて、
私たちはそこで別れた。