彼と彼女の方程式
…やばい……。
「…なんでって…『み、湊!!帰るよ!』
ぐいっ!!と湊の腕を引っ張って教室を後にした。
余計な事を言われる前に離れたかった。
「遥!!また明日ね〜!」
背後で聞こえる元気な彩那の声とは対照的にあたしの心は沈む。
……あぁ…。
明日、休もうかな…。
あたしは小さく溜め息を漏らした。
「おい、遥。…いいのか?」
あたしに腕を引かれながら後ろを振り返りそう言う湊。
『ん、…大丈夫。』
ってか、あそこで湊が来なければ、なんとかなったかもしれないのに…。
そう思ったら湊を睨まずにはいられなかった。
「はっ!!?…なんだよ。」
訳も分からず睨まれたら誰だって驚くだろう…。
『…別にぃ。』
「…」
……あっ、まずい。
ちょっと怒っちゃった…?
機嫌が悪かったり怒ると、湊は決まって無口になる。