彼と彼女の方程式



もう校舎内にいる人は少ないとは言え、ちらほらと生徒の姿が見える。





こんな姿を見られたらまたある事ない事言われそうだなぁ…。




不機嫌そうな湊を横目に、掴んでいた手をゆっくり放した。




『湊…ごめんね、帰ろ?』



ニコッと湊に向き合って首を傾げた。






「…はぁ。」



頭をクシャッと掻くと、今度は湊があたしを睨む。




…ドキッ、とした。



睨まれてるんだけど、その目が綺麗でビックリした。


湊ってこんな綺麗だったっけ…!!?




元々、綺麗な整った顔をしてるっていうのは知ってる。



だけど…。




「遥って、ずるいよなぁ…。」



『はぁ…?』



ずるい…?


何が…?



あたしには湊のその綺麗な顔の方がずるいと思いますけど…。




「なんか、怒ろうとしてもま、いっか…ってなるじゃん?」



『…そう、なの?』



髪を掻き上げながらそう言う湊にあたしはやっぱり綺麗だなぁなんて思いながら適当に答えていた。


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