彼と彼女の方程式
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『…ねぇ、重くない?大丈夫?』
「だから、大丈夫だって!!何度も言わせるなって。」
『だって…。』
普通の乙女(?)としては、気になるし…。
自転車の荷台に座って、目の前にある大きな背中に少しだけ掴まった。
「…遥。」
『んっ?』
「それ、落ちるから。」
それって…、もしかしなくても、あたしの乗り方?だよね…?
『そう言われても乗った事ないもん…。』
二人乗りなんて小学生以来、ましてや異性となんてした事ない。
自転車に跨がりながら振り返る湊はどこか嬉しそうに戸惑うあたしの手をとった。
「…こうしてて。」
あたしの手は湊に誘導されて腰に手を回す型に固定された。
『っ…!!ちょっ、ちょっと近いんじゃない?』
恥ずかしくて手を放そうとすると、グッと重ねられる湊の手。
『危ないから。』
…そう言われると抵抗が出来ない……。
むぅっ…と何とも言えず照れるあたしに気付いたのか背中からククッと笑うのが伝わってきた。