彼と彼女の方程式
ゆっくり流れていく景色。
風が気持ちいい……。
優しい風が頬を撫でる。
湊に回した腕にまだ少しだけ照れを感じたけど、だいぶ慣れてきた。
…それにしても、湊って細く見えるのに意外としっかり…
…って何考えてんのよ〜!!!!
しっかりしろ、あたしっ!!
「…おいっ!!遥!!!」
突然振り返って驚いたような声を出す湊。
『…へっ?何?
…えっ!!〜っぎゃあ!!』
あたしの目の前には太陽に照らされた地面が見えた。
―――――――
――――…
「マジで信じらんねぇ。」
『……』
見事、自転車から転落したあたしの両手、両膝には綺麗な擦り傷。
湊の家にお邪魔して文句を言われながら手当てを受けている。
確かに手を離したあたしが悪いのかもしれないけど、そんなに呆れた顔しなくてもいいのに…。
「…遥、聞いてる?」
少し不機嫌そうな湊の声。
なんでケガしたのはあたしなのに湊がこんな怒ってんのよ!!?
『…聞いて、る…。』