感方恋薬-かんぽうこいやく-
「か、隠すって、何を隠すのよ、隠して得する物なんて何も無いぞ!」


あれ、あたしなんでこんなに必死に成ってるんだ。


別に隠す事なんて無いじゃないか。


むしろ、積極的に弟でも家族にでも話して相談するべきじゃないかなと思うのだが…しかし、こんな話をしても、おでこに手をあてられるのがオチだろうと思うから、取りあえず隠しておこう。


あたしは弟の頭を無理矢理部屋の外に押し出すと、ほっと、溜め息をついた。


しかし、部屋の外で、何やらごそごそ人の気配がする。


「おい!まだ居るの?」


「え?うん、あぁ」


「じゃあ、一つ言いたいんだけどさ」


「なに?」


「明日、彼女に何でも良いから話し掛けてごらん」
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