感方恋薬-かんぽうこいやく-
弟、ずさっと後ずさる。


「ふっふっふ、あたしの情報網を舐めるんじゃないの。昨日の公園よ」


そう言うと、弟はみるみる耳まで真っ赤に成って行った。


「どうだ、参ったか?」


あたしは腰に手を当て勝ち誇った様に高笑い。


弟はがっくりと肩を落として、ゆらりと立ち上がり、壁のハンガーに掛けてあった制服のポケットから財布を取り出した。


そして小銭を取り出そうとしたのだが、すかさずあたしは札を一枚抜き取った。


「あ~姉貴、それ虎の子の!」
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