感方恋薬-かんぽうこいやく-
「うむ、しっかりやるのじゃぞ」


そう言うと、爺は、あたしの目の前から消えて無くなった。


「貴子、何一人で、ぶつぶつ言ってるの?」


はっと、その声の方向に向かって視線を移すと、其処には則子が立って居た。


「あ、い、いや別に何でも無い」


あたしは、その場を取り繕う様に則子に作り笑顔で答える。


「なんか、誰かと話してたみたいだけど?」


「ん~いや、そんな事は無いよ」
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