感方恋薬-かんぽうこいやく-

第2節

あたしは幸と紀美代が話している処まで進み出ると、徐に幸に尋ねた。


「ねぇ幸…あたしの事…嫌い?」


幸は豆鉄砲食らった鳩みたいな表情で、あたしに向かって視線をよこした。それと同時に、紀美代も視線をあたしに移す。


「ど、どうしたんですか貴子さんいきなり」


狼狽する幸に、あたしは真剣な表情を崩す事無く、真っ直ぐな視線を幸に贈る。


「いや、嫌いじゃないです…どちらかと言えば…好きです」


幸がそう話した瞬間、時間が凍り付いた様な感覚に襲われた。紀美代の視線もあたしに向けられたまま凍りついている。
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