感方恋薬-かんぽうこいやく-

速攻であたしの頭は「否定」の2文字を選択した。


そんな事覚えても何の得にもならないし、第一、この訳の分からない爺さんと何時までも関係を持って居る事も嫌だ。


そう考えて居ると爺はあたしにくるりと背中を向けると意味有り気に、鬚を弄りながら首だけ少しあたしに向けて意味ありげな視線を向けると、


「うまくすれば…一稼ぎ出来るんじゃがのう…」


爺がちらりとあたしを見る、あたしの頭の中の文字は「否定」から「肯定」に変わった、ついでに「ぴんぽ~ん」と音がした様な気がした。


「…そ…其処まで言うなら…覚えて…あげるわよ」


あたしは「一稼ぎ」の一言につられて、つい爺の話に乗ってしまった。


「よし、其れではきまりじゃ。先ずは簡単な処から纏めて来るから暫く待っておれ」
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