感方恋薬-かんぽうこいやく-
さっきの質問が効いてて、幸とは車中黙ったままだった。


「貴子さん」


「ん?」


あたしは、幸の声に何となく返事をした。


「走りますよ!」


「え?」


幸は言い終わるか終らないかの内に、脱兎の如く学校の玄関に向かって走り出した。


あたしは、何が起こったのか一種理解出来ず茫然とその場に立ち尽くしたが、授業開始の予鈴が鳴りだした事で、事態を把握した。
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