不思議トワエモア


「のっぽ君、頑張りなさい!もう一踏張りだからね!実は言うと…葵は君を見掛けると顔が綻ぶの。ーーーこれが何を意味するのかわかる?」


「えっ…?」



 ここで私は気付いた。


 薫が言わんとする事が。


 自分ではそんな顔をしていたつもりはなかったけど、どうやら薫の目にはそう映っていたらしい。

 反対に鹿島君はよく分かっていないらしく、ことっと首を傾げる。

 その様子に薫はニヤリと怪しい笑みを作った。



 ──危ない。


 私は知っている。

 この薫の笑顔がとんでもなくややこしい事態に陥る前触れだという事を。今までの経験から脳が警報を鳴らしている。


 ちょ、ちょっと待って、それ以上は……


「かお…、」

「つまり、少なくとも葵はのっぽ君に好意を持っている、そういう事よ」


 私はあちゃ〜と額に手をあて、じとりと薫に冷たい視線を浴びせた。

 …が。それにも拘らず彼女はしてやったりという表情を見せる。


 さっきの言葉は私が彼を好きだと、そんな感じに聞こえてしまうのは間違いない。彼を嫌いな訳じゃないけど、好き…そう断言してしまうのは多少抵抗がある。



 だってまるでそれは、異性として好き、そう言っているみたいだから。


「ごめん、鹿島君。薫の今の言葉は忘れて、……って鹿島君?」


 何も反応がない彼を見やると、不自然な程に固まっていた。まるで彼の時だけが止まったようにぴくりとも動かない。

 少し不安になった私は咄嗟に鹿島君の腕を軽く引っ張った。


「ねぇ、大丈夫?」

< 18 / 18 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

桜の木の誓い

総文字数/82,874

ファンタジー136ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
先の見えぬ道でも ひたすら走ってみせよう たとえ何度転ぼうとも 必ず立ち上がってみせよう 己の信念を貫け 大切な者達を守るために 幕末タイムスリップ恋物語 ※更新兼加筆修正中 2010/5/16 更新再開 12/18 〜P10 2ページ追加 12/20 〜P17 修正完了 内容に変更はありませんが 大幅に表現方法が変わっています。 【注意】 史実に基づいたフィクションの為、 史実通りに進行するとは限りません。 HPにて番外篇掲載中。 執筆開始日 2009.2.20

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop