平安物語=短編集=【完】
「麗景殿様、お見えになりました。」
数名の女房、扇で顔を隠した小柄な高貴な方、おくるみの赤子を抱いた女房、そしてまた女房…
女房がそれぞれ控えて、小柄なお方が敷物の上にゆっくりとお座りになりました。
お召し物の裾が本当に長く引かれていて、背がお小さく華奢でいらっしゃいます。
その裾にたっぷりまとまって更に余る程の長く豊かな黒髪。
扇をたたんで、小さなお顔が覗きました。
「ご機嫌よう。」
無邪気で無垢なお顔――ちょっと小首を傾げて微笑まれるご様子は、到底お子がいらっしゃるようにはお見えになりません。