平安物語=短編集=【完】
「お目にかかれまして、嬉しゅう存じます。
梅壺の更衣にございます。」
深くなりすぎない程度に頭を下げてご挨拶申し上げますと、
「私も、本当に嬉しゅうございます。
もう楽しみで楽しみで、昨夜はあまり寝付けなくって。」
と、拍子抜けするほど明るく朗らかに仰います。
そのお声もまた、麗景殿様の御容姿にぴったりです。
「女一の宮ですね?
お可愛らしい!
驚く程、お母君にそっくりでいらっしゃいますこと。
確か…六歳でいらっしゃいましたか。」
満面の笑顔で仰るので、元々明るく人懐っこい女一の宮も緊張を解いて
「はい、六歳になりました。」
とにこやかにお答えしました。