平安物語=短編集=【完】
「そちらが、女二の宮でいらっしゃいますか。」
おもむろに姫宮の乳母らしき人の方に目をやって申しますと、
「はい。
こっちに来て、お見せしてちょうだいな。」
と、その人をお呼び寄せになりました。
その人はいかにも恭しく控え目に近寄って来て、腕の中の姫宮を見せてくれます。
「まあ…」
その姫宮は、まだほんの幼いとは言え丸々肥えて愛らしく、それに何と言っても、あの東宮様の面影をそのまま写し取っていらっしゃいます。
気品があって本当に美しい様は、赤子とも思われないほどです。
――これは確かに、東宮様もこの上なくお可愛がりになる筈だわ。
私には本当に可愛い女一の宮が、きっとこの女二の宮に見劣りするであろう事が不憫でしたが、数えで五歳も年が離れているのが救いです。