平安物語=短編集=【完】
「うわあ…っ」
声のした方を見ると、女一の宮が目をきらきらさせて妹宮を見つめています。
「触っても良いですか?」
「もちろん、どうぞ。」
麗景殿様のお許しを頂いて、おそるおそる、柔らかそうな頬に指を伸ばしました。
「ふにふに…」
私を見上げて、嬉しそうに笑います。
その時、妹宮がパクリと指を口に含みました。
「わーっ
どうして私の指をなめるのですか?」
妹宮自身に問いかけると、妹宮がにっこりと笑いました。
「かわいいっ」
「ぜひ抱いてあげてくださいな。」
「えっ」
麗景殿様に促されて、嬉しさ半分怖さ半分のような表情で、そっと妹宮を抱き取ります。
「かわいい…」
その時ふにゃっと笑ったのですが、その表情が、東宮様が女一の宮と対面を果たされた時に驚くほどそっくりです。
随分情けない表情を受け継いだことだと、何だか嬉しい気分になりました。