平安物語=短編集=【完】
決心がつかず返事をはぐらかしていると、北の方から決断を迫るお手紙が毎日届けられるようになりました。
『一体何を邪推なさって、そんなに悩まれるのでしょうか。
私達の悪い噂でもお耳に入れる人がいるのかと疑ってしまいます。
あなたのお引越の支度にも、ご結婚の支度にも時間はかかるのですよ。
一日でも早くご決心なさい。
』
女房達が疑われてしまっては、気の毒でどうしようもありません。
それに、私のような者のためにこうまで言ってくださるお気持ちに逆らえず、渋々ではありましたが、この屋敷を離れる事を決めました。